|
今年度も、脳腫瘍においてすでに変化が報告されている癌関連遺伝子のみならず、インターフェロンのレセプターからのシグナル伝達に関与する可能性のある遺伝子の発現プロファイルを解析するために、本学にすでに設置されているDNAマイクロアレイを用いて主として悪性脳腫瘍検体の解析を施行した。
すなわち、摘出手術により得られた脳腫瘍部のmRNAを抽出。抽出されたmRNAは、サンプル中での遺伝子発現状況を反映することから、このmRNAを鋳型として合成して蛍光標識した一本鎖cDNAプローブをターゲットにハイブリダイズした。ターゲットは主としてインターフェロンのレセプターからのシグナル伝達に関連する可能性のある遺伝子のPCR産物を用いた。この際、非腫瘍部のmRNAをコントロールとして、腫瘍部で発現が増強あるいは減弱しているターゲットを見出し、脳腫瘍における遺伝子発現プロファイルを作成するのであるが、昨年度と同様に非腫瘍部の検体を得ることは非常に困難であったため、本年度は一般に入手可能な複数のヒト正常細胞からmRNAを抽出してコントロールとして使用した。
結果として、比較的興味のあるデータが得られたが、患者の予後、臨床的インターフェロン感受性などとの相関性に関する解析がまだ不十分で、現在進行中である。なお、この結果得られたインターフェロン抗脳腫瘍効果発現に有意と思われる遺伝子に関して、次年度はRT-PCR法にて実際の発現量の測定を行う予定である。
|
