研究課題/領域番号 |
14571344
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研究機関 | 明治鍼灸大学 |
研究代表者 |
田中 忠蔵 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 教授 (80163541)
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研究分担者 |
青木 伊知男 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 助手 (10319519)
梅田 雅宏 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 講師 (60223608)
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キーワード | 神経再生 / 海馬 / マンガン造影 / 拡散テンソル / 脳虚血 / 低酸素症 |
研究概要 |
基礎実験として、実験AIM:マンガン造影MRIの基礎的な検討を行った。その結果、1)神経再生モデルでは、コントロール群と対照群を正確に設定するのが困難である。そこで、コントロール群の設定が必要でないマンガン造影法の検討を詳細に行い、コントロール群を必要としない方法を見いだした。2)マンガン造影法の基礎的検討から血液脳関門を破綻させた際に生じる脳浮腫の予防に高浸透圧溶液としてのグリセロールの投与が有用であり、投与量の最適化がはかれた。また、3)マンガン造影法では、投与直後に死亡したラット脳において海馬の造影がきわめて小さいことを見いだした。一方、生存ラットでは海馬は特異的に造影された。この結果、ラット海馬の神経細胞は、神経興奮に伴うカルシウムの細胞内流入のかわりにマンガンが流入することが推測された。海馬の造影はきわめて特徴的であることが確認された。 一方、このきわめて特徴的な結果に基づいて、神経再生モデルの検討を海馬障害モデルで行うことに決定した。虚血性海馬障害モデルとして4動脈結紮モデルと、一過性の心停止モデルを採用することとし、基礎的検討を行った。特に、一過性心停止モデルは秒単位で虚血低酸素状態を再現することができるためにきわめて有用である。 臨床研究では、Incoherent MRIとして拡散テンソル画像の臨床応用を行った。臨床用1.5テスラMRIにより全脳5mmスライスで6方向の拡散テンソル画像の最適化を行い、臨床応用を開始した。脳梗塞急性期から慢性期にかけての経過をこのIncoherent MRIで撮像した。その結果、FA(Fraction anisotropy)画像とTrace(3次元的な方向性から得られた拡散係数)画像が臨床的に神経の損傷評価に有用であることを見いだした。発症時と慢性期の脳卒中スコアの経過と発症後2週間後のこれらの画像がきわめて良好な相関を示すことがわかった。この結果は、Tractgraphyが臨床有用性を有することを明らかにしたばかりでなく、この画像が神経損傷の程度の評価も行えると考えられる。
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