研究課題
本研究では高強度生体内吸収性材料を脊椎初期内固定として使用した人工椎間板置換術の有用性を、動物モデルにおいて生体力学的、組織学的に検討した。平成14年度はサル16頭を用いて腰椎L2/3とL4/5椎間に対し、デザインを変更した前方置換型および後方置換型の二種類の人工椎間板をそれぞれ前方・後方進入で挿入した。後方置換モデルは左右分割型とし、特別に開発した椎間板挿入用治具を用いて、外側進入にて左右両側より椎間板再建を行った。前方置換モデルはFabric内に高強度吸収性材料によるピンを設置して、置換早期のデバイスの安定性を付加した。また骨伝導能を高める目的で人工椎間板表面にハイドロキシアパタイト/PDLLA材料を付加した新しいモデルの移植を行い、6ヵ月後の界面状態について検討した。現在最終報告をまとめつつある段階で、結果の概略のみ述べると、前方置換椎間の可動性は正常椎間の軸回旋で80-90%、屈曲-回旋で60-70%と比較的良好に保たれていた。しかし、後方置換椎間ではデバイスの脱転が見られたほか、椎間可動性が減少または消失したものが多かった。今回の実験から前方置換型は臨床応用を支持する有用な結果が得られたが、後方置換型ではデザインと進入路の更なる検討が必要であることが明らかになっている。
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