【目的】機能的電気刺激における筋疲労に対するcatch propertyの効果を検討する。 【対象と方法】成熟Wistar系ラット、雄8匹8肢を用いた。下肢後面を展開し坐骨神経を露出、内側腓腹筋を遠位部で切離、断端をトランスデューサーに約1Nの負荷をかけて取り付け固定した。電極は、双極カフ電極を使用し、等尺性張力の計測を行った。刺激条件は、基本周波数20Hzとし、定常刺激は20Hz持続刺激を、catch property刺激は、初回刺激時に周波数100Hzのdouble pulseを加えた後に20Hzでの刺激を行った。パルス幅0.2msecの単相矩形波を用い、刺激電圧は最大上定電圧をTとした時の2Tとし一定とした。刺激は4秒間on、15秒間offの間欠刺激とした。まず初回刺激より5サイクルの20Hz定常刺激を行いpotentiationを生じさせた。次いで、20Hz定常刺激とcatch property刺激を交互に施行した。疲労試験は合計55回施行した。筋疲労は、刺激開始時の最大張力(Ti)に対するt回目での最大張力(Tt)の割合である(% of initial peak force)を、% of initial peak force=(Tt/Ti)×100で求めた。 【結果】非疲労時においては、20Hz定常刺激の最大張力、catch property刺激による最大張力はほぼ等しい。疲労試験最終時では張力曲線である。定常刺激に比べ、catch property刺激で刺激開始時の張力が大きかった。% of initial peak forceの経時的推移は定常刺激で刺激開始後から徐々に% of initial peak forceが低下し疲労し、最終刺激時まで低下が認められた。一方、catch property刺激では張力の低下は軽度であった。統計学的に、定常刺激で優位に疲労が大きかった(p>0.001)。 【結論】間欠刺激条件で立ち上がりの張力維持が認められ、同効果のFESへの応用の可能性が示唆された。
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