研究概要 |
仮骨延長部の骨形成を促進するために,GFP蛍光遺伝子を持ったpEGFP-C3プラスミドのMCSにrhBMP-2遺伝子を組み込み,融合蛋白をコードするプラスミドを作成した.作製したプラスミドをリポフェクションにて,マウスの線維芽細胞株であるC2C12およびNIH3T3に導入を行なった.RT-PCRではrhBMP-2のmRNAの発現は亢進していた.同細胞は蛍光顕微鏡およびレーザー共焦点蛍光顕微鏡において蛍光発現していた.C2C12はBMP-2存在下で骨芽細胞様の活性を示すことが知られているが,G418で選択しつつ培養継続した細胞培養上清におけるALPの活性は変化がなかった. ラットの大腿骨より採取した骨髄由来細胞一時培養株に遺伝子導入し,それをラットの大腿二頭筋内および創外固定器により作成した5mmの骨欠損部にType I collagenを担体として埋入した.経時的なレ線で骨形成は確認されず,標本においてGFPの蛍光はわずかに確認されるが骨梁形成は認めなかった.BMP-2の免疫染色も部分的に認めるものの,GFP蛍光との関連性はなかった.骨欠損部に埋入した後に骨延長刺激を加えた群(0.5mm/日を10日間,計5mm延長)においても同様の結果であった. ラットの大腿骨に創外固定器を設置した後に5mmの骨欠損(一期的延長)を作製し,その骨欠損部にType I collagenと骨髄血とプラスミドを埋入し,両端に電極を設置しelectroporationによる遺伝子導入を行なった.3週目の標本にてGFPの蛍光を認めたが,骨梁の形成は認めなかった. 以上の結果から,GFP-rhBMP-2融合蛋白遺伝子は正常間葉系細胞に導入されるが,生理活性は十分に発揮されないことがわかった.今後は各遺伝子間の構造を変えることや,ベクターをアデノウィルスに変更することで改善を図る必要があると考える.
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