軟骨細胞培養系において、軟骨基質分解酵素であるm-calpainの細胞内での発現および細胞外への分泌を検討した。軟骨細胞単層培養系(ヒト chondrocytic cell line)を用いて、(1)NSAIDs単独、(2)炎症性サイトカインであるTNF-α単独、(3)TNF-αおよびNSAIDsの両者を添加し、細胞内のm-calpainの発現およびmedium中への分泌を調べた。NSAIDsはアスピリン、ジクロフェナク、ロキソプロフェンの3種類を使用した。細胞内m-calpainの発現はWestern blottingおよびZymographyを用いて、細胞外の発現は、mediumをDAEA-celluloseを用いたクロマトグラフィーにより精製しWestern blottingを用いて検出した。NSAIDs単独の添加により細胞内外のm-calpainの発現に変化を認めなかった。TNF-αの添加により細胞内のm-calpainの発現は減少し、代わりに細胞外(medium中)のm-calpainが増加する傾向を認めた。(効果は24〜48時間において濃度、時間依存的であった。)TNFαの刺激による細胞外へのm-calpainの分泌は、NSAIDsの添加により阻害された。炎症性サイトカインであるTNFαの存在下にて、軟骨細胞から細胞外へのm-calpain分泌が促進され、またその分泌がNSAIDsによって阻害されることが示唆された。
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