研究概要 |
Cartilage Derived Retiagic Acid sensitive Protein(CD-RAP)は,最近発見された主に軟骨細胞に発現する蛋白質である。その特異的な現様式により、整形外科疾患における臨床的マーカーになる可能性がある。我々は、整形外科疾患の臨床検体中のCD-RAP濃度と、病態との関連を検討した。 軟骨系の腫瘍は、化学療法と放射線療法がほとんど無効で、外科的治療が第一選択になる。この腫瘍をCD-RAP濃度でモニターできるかどうか、Swarm Rat Chondrosarcomaを用い血中のCD-RAP濃度との関連を検討した。CD-RAP濃度は、腫瘍が肉眼的に確認できるよりも早期に上昇した。外科的に腫瘍を摘出した後再発した例では、臨床的に再発が確認できるより前に血中CD-RAP濃度が上昇した。これらの結果は、CD-RAPが軟骨系腫蕩の血中マーカーとなる可能性を示した。現在、臨床検体を用いて検討中である。 変形性関節症およびリウマチの膝関節液中のCD-RAP濃度と病期との関連を検討した。CD-RAP濃度は病初期に高値を示し、疾患がすすむに従い低下した。関節内CD-RAP濃度は、関節内軟骨の修復課程を客観的に示すマーカーとなることを示した。 脊椎・脊髄疾患の髄液中CD-RAP濃度を測定し、臨床症状との関連を検討した。脊髄の圧迫がみられる症例において髄液中CD-RAPは高値を示し、CD-RAPは、脊椎・脊髄疾患において脊髄圧迫の程度を示すマーカーとなることを示した。
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