研究概要 |
加温処理骨にBMPや培養した骨髄幹細胞を添加することにより加温処理骨の骨癒合や骨同化をさらに促進し、永久に,維持できる理想的な骨の生体材料を見いだすことを目的とし、SDラットを実験動物として使用した。SDラットの大腿骨の骨欠損部を8mmとし、これをコントロールとした場合、欠損部が大きいために、2ヶ月の経過こ於いても、骨欠損部における骨の新生は全く見られなかった。これはX線検査で確認した。次に、8mmの骨欠損部に対し、70度l5分間、温熱処理を行った加温処理骨を移植した群では70度加温骨は宿主骨との骨癒合は見られるものの、移植骨内には新生骨による骨形成は認められなかった。これはX線所見に於いて、移植骨内に新生骨による骨硬化性変化は見られず、また、組織学的にも移植骨内には肉芽様変化が主体であり、移植骨の新生骨への置換はほとんど見られなかった。これに対して、コラーゲンゲルで包埋した培養骨髄幹細胞を加温骨内に移植した群では、骨癒合の形成のみならず、移植骨内においても骨形成が認められていた。これはX線所見において移植骨内に骨硬化性変化が見られており、移植骨の新生骨へのリモデリングが行われつつあることを示唆する所見であった。BMP群に於いても同様に骨形成が認められたが、まだ術後2ヶ月での評価のために、これらの骨形成がさらに成熟しつつ永久的に生きた骨への置換となるかについては、さらなる検討が必要である。また、コラーゲンゲルで包埋した培養骨髄幹細胞にBMPを添加した群を作成しさらなる骨形成の促進が得られることを確認していきたい。さらに、組織材料からオステオカルシン、オステオポンチン、Type Iコラーゲン、Type IIコラーゲン、ALPのmRNAなど遺伝子発現を確認し、遺伝子レベルにおいてもその発現が促進されているかを検討していく予定である。
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