研究概要 |
ヒト骨肉腫腫瘍組織におけるDDM23(RGL3)遺伝子の発現レベルを定量的RT-PCR法を用いて計測した。正常ヒト骨芽細胞に比較して24例中8サンプルでDDM23の発現量が5倍以上に増加しており、ヒト骨肉腫発生過程にDDM23が関与している可能性が示唆された。次にレトロウイルスベクターpBabe-puroに、われわれがクローニングしたヒトDDM23遺伝子(hDDM23)を挿入し、そのC末端はmyc epitopeおよび6×His epitopeを用いて標識した。ヒトテロメラーゼ遺伝子hTERTおよびヒトパピローマウイルス16型E6,E7遺伝子を導入して不死化したヒト間葉系幹細胞(MSC-E6/7-hTERT)に、このpBabe-puro-hDDM23およびネガティブコントロールとしてpBabe-puroを感染させ、puromycin投与下に2週間培養することでhDDM23を発現するpolyclonalな不死化MSC(MSC-hDDM23)を作成した。導入したhDDM23の発現は抗myc抗体および抗His tag抗体を用いてWestern blotting法にて確認した。この細胞のin vitroでのコロニー形成能を評価するためにcolony formation assayを行ったが、MSC-hDDM23とMSC-EVの間に明らかな差は認められなかった。また細胞の移動能を評価するためtranswell migration assay,基底膜浸潤能を評価するMatrigel inavasion assayにてもMSC-hDDM23とMSC-EVの間に有意な差は認められなかった。現在この細胞をヌードマウスに移植し造腫瘍性を評価しているが、4週間経過した現時点では腫瘍形成は認めていない。
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