研究概要 |
平成15年度は頚髄症思者18例(頸椎症性脊髄症13例、頚椎後縦靱帯骨化症5例)の術前脊髄腔像影時に脳脊髄液を採取し、-80℃で冷凍保存した。後日これを解凍し分析に用いた。0.6mmlo/L sodium-3-trimethyl-silylpropinate-2,2,3,3-d4(TSP)を内部標準として添加して核磁気共鳴法にてlactate, aceteta, pyruvate, citrate, ethanol(ブドウ糖代謝産物)alanine, glutamate(アミノ酸神経伝達物質)の定量を行った。。頸髄症の重症度は日本整形外科学会頸髄症治療成績判定基準(JOA点数)を術前、術後で調査した。 結果:1)術前JOA点数および術後のJOA点数はlactate, pyruvateと負の相関傾向があったが統計学的には有意ではなかった。 2)lactate, alanine, glutamate, pyruvate, citrateはそれぞれ互いに有意の正の相関を認めた。 3)ethanolの信号の検出の有無で2群に分けるとethanol陽性群は有意に術前JOA点数が低値であった。すなわち脊髄症が重症であった。またehanol陽性群は有意にlactateが高値であった。 まとめ:脳脊髄液中のlactate, pyruvateは頚髄症の重症度と負の相関の傾向がある。内因性の髄液中ethanolは術前頚髄症の重症度および髄液lactateの濃度と相関する。ブドウ糖代謝産物は頚髄症の重症度の指標になりうる可能性がある。
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