頚髄症患者21例(M群)、腰椎神経根症患者19例(R群)、対照6例(C群)の脳脊髄液中のlactate、alanine、acetate、glutamate、pyruvate、citrateを核磁気共鳴法により測定した。さらに、ELISA法を用いて、interleukin-1-beta(IL-1-beta)、interleukin-6(IL-6)、tumor necrosis factor-alpha(TNF-alpha)を測定した。これらの計測値を群間で比較し、さらに各群内で臨床症状などとの相関を検討した。なお、臨床症状には日本整形外科学会治療成績判定基準を用いた(JOA score)。 1.群間の比較 IL-1-betaは、M群の3例とC群の2例のみ検出でき、R群では全例で検出できなかった。lactate、alanine、acetate、glutamate、pyruvate、citrate、IL-6、TMF-alphaは、M群とC群との間ではいずれも有意な差はなかった。IL-6はR群がC群よりも有意に高値であったが、他の項目では有意な差はなかった。 2.頚髄症 JOA scoreとalanineに有意な正の相関を認めたが、その他の物質、サイトカインとJOA scoreとは相関がなかった。また、罹病期間とも相関はなかった。 3.神経根症 TNF-alphaと神経根ブロック効果時間との間に有意な正の相関を認めた。その他には、acetateとJOA scoreが負の相関、glutamateとJOA scoreが負の相関、citrateと神経根ブロック持続時間が正の相関、IL-6と下肢痛が負の相関を示す傾向にあった。 以上の結果を、平成16年度の欧州脊椎外科学会(EuroSpine2004)において発表予定(採用決定済み)である。現時点では考察が難しいため追加実験を行った後、英文誌に投稿予定である。
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