研究概要 |
変形性関節症における関節軟骨破壊の制御機構を解明するために、軟骨分解の強力な因子の1つであるインターロイキン(IL)-1βの作用に対し、インシユリン様成長因子(IGF-I)や、デキサメタゾン、インドメタシンなどの薬剤がどのような作用を示すかを研究した。またこれら細胞内情報伝達経路においてMAPKの関与を調べるためにその阻害剤の1つであるPD98059を添加しその影響をみた。 ヒト軟骨細胞を単層培養および、三次元培養を行なつた。IL-1βと上記薬剤を単独または同時に添加し、培養液中のIL-6及び基質分解酵素(MMP-1-3,-9,-13)の濃度をELISA法で測定した。また軟骨細胞よりtotal RNAを抽出しRT-PCR法でそれらの発現を調べた。IL-1はIL-6および各種基質分解酵素の産生をmRNAおよび蛋白レベルで著しく亢進させた。一方、デキサメサゾンはほぼ完全にこれらの作用を抑制し、インドメタシン、PD98059も部分的に抑制した。しかしIGF-Iはほとんど抑制作用を示さず、他の機序で軟骨基質の維持に作用していることが考えられた。今後はこれらの薬剤や成長因子を組み合わせることにより変形性関節症の治療に発展させていきたい。
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