我々は、人工膝関節置換術の手術手技の改良として、Posterior Clearanceの作成が術後屈曲可動域を改善させることを報告してきたが、今回の研究では、よい可動域のまま、より安定した膝関節にするための手術手技の開発を目的としている。 現在まで行ってきた症例の術後の軟部組織バランスを評価するため、11関節のストレスレントゲン撮影(オリジナルの撮影法)を行った。平均値は以下に示すとおりである。 0度 45度 80度 最大屈曲 (Medial Gap) 1.1 2.7 1.5 2.8(mm) 外反ストレス時 (Lateral Gap) 1.5 1.1 2.3 1.2(mm) 内反ストレス時 80度近辺でやや外側がゆるく、45度屈曲と最大屈曲では内側のゆるみが観察されたが、平均2mm以下と小さなものであった。なお、この症例群の術後平均屈曲角度は、133度であり、5関節は140度を超える可動域を獲得していた。手術手技について、津村が2002年ヨーロッパリウマチ関節外科学会(ERASS)に、ストレスレントゲンの結果を含め、津村と古代が、第33回日本人工関節学会(2003年2月)にて、それぞれ発表した。 次のステップとして、NITTA圧力分布測定システムのセンサーシートをうまく挟めるような測定用脛骨プレート(サイズ2から6)を人工関節メーカーに依頼し作成を完了した。また、大腿骨と脛骨の前後左右のトランスレーションを行いながら、Gapを測定できるインストルメントを設計中である。
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