研究概要 |
我々は、人工膝関節置換術の手術手技の改良として、Posterior Clearanceの作成が術後屈曲可動域を改善させることを報告してきたが、今回の研究では、よい可動域のまま、より安定した膝関節にするための手術手技の開発を目的としている。テンションメータを作成し、開発した手技で手術を行った。 現在まで行ってきた症例の術後の軟部組織バランスを評価するため、11関節のストレスレントゲン撮影(オリジナルの撮影法)を行った。平均値は以下に示すとおりである。 【table】 80度近辺でやや外側がゆるく,45度屈曲と最大屈曲では内側のゆるみが観察されたが、平均2mm以下と小さなものであった。なお、この症例群の術後平均屈曲角度は、133度であり、5関節は140度を超える可動域を獲得していた。手術手技について、津村が2002年ヨーロッパリウマチ関節外科学会(ERASS)に、津村と古代が、第33回日本人工関節学会(2003年2月)にて、それぞれ発表した。 【臨床応用と限界】2003年1月より12月までの1年間で、この手術法を用いて27関節の人工膝関節置換術を行った。縫合不全などの軽微なものを除いて合併症はなく、また、歩行能力の改善はすべての症例で得られていた。しかし、この手術法が適応できなかった症例として、関節リウマチによる外反膝変形がある。これは軟部組織の弛緩のため、屈曲GAPが大き過ぎ骨切りでの対応が不可能なためである。
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