研究概要 |
福島県南会津郡舘岩村で毎年行われる総合検診時に腰痛検診を行った.平成13年に第1回腰痛検診,14年に第2回腰痛検診を実施した.本研究の対象は,第1回腰痛検診を受診した816名のうち,第2回検診で追跡調査が可能であった642名(男性290名,女性352名,最多年代層70代)である.follow-up率は79%であった.調査内容は,両年度とも全く同じ項目についてアンケートを行った.個人の背景因子として,年齢,性,配偶者の有無,および同居子の有無について調査し,それぞれの項目はパス解析を適用できるようにコード化した.痔痛のアウトカム指標として,腰痛や下肢痛の程度をvisual analog scaleで評価した.機能状態の評価には,Roland-Morris Disability Questionnaire日本語版を使用した.総合的健康感の評価にはSF-12を用いた.各指標の1年間の変化値を算出し,縦断研究モデルに基づいてパス解析を行った. 機能状態の変化は,腰痛や下肢痛の程度の変化,性と有意な関連が認められた.身体的健康度の変化は,腰痛や下肢痛の変化よりも,むしろ機能状態の変化と強い関連が認められた.社会的活動の変化は,身体的健康度の変化と有意な関連が認められた.社会的統合の変化は,配偶者の変化と有意な関連が認められたが,R2値は0.004と小さく,その他の要因の関与が大きいといえる.主観的幸福度の変化は,R2値が0.006と小さく,その他の要因の関与が大きいといえる.健康満足度の変化は,身体的健康度の変化と強い関連が認められた.以上の結果から,腰痛関連モデルにおける指標間体系的な関連について検討した.各指標の変化は,社会的統合の変化と主観的幸福度以外については,モデルに一致した相互関連があることが明らかになった.すなわち、腰痛や下肢痛が日常活動の制限を生じた結果,総合的健康感に影響が及び,さらに健康満足度にも影響が及ぶといえる.
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