1)軟骨組織の3次元培養 綿状コラーゲン繊維を支持体として軟骨細胞の3次元培養を行なった。十分な軟骨細胞増殖及び軟骨基質産生が得られなかった。 2)損傷軟骨の再生とストレス緩和 全く新たに軟骨細胞を増殖させて、軟骨組織を再生させることは、多大な時間がかかること、力学的強度が当初から不十分である、などのことから、ハイブリッド再生軟骨の開発には以下に述べる方法が合理的かつ、実用的であると考えた。 A)軟骨損傷部位直下の軟骨下骨骨髄から幹細胞を誘導して軟骨細胞に分化させて増殖させる。 B)支持体としての機能と軟骨組織再生に適した特性・効果を合わせ持ちかつ、関節外から経皮的に導入が可能であるような、ゲル状の軟骨成分を含む合成潤滑性薬剤を開発する。 3)1)、2)の結果をふまえて、臨床応用により直結可能なように一部の研究計画の追加を行なった。すなわち、ブタ関節軟骨組織欠損モデルを作成して、軟骨下骨をドリリングの後、軟骨修復促進作用を持たせた軟骨組織に親和性を持つゲル状潤滑剤を関節内に注入し、経時的に組織反応を観察する。軟骨組織に親和性を持つゲル状潤滑剤には、DPPC(dipalmitoylphosphatidylcholine)、ヒアルロン酸等を成分とした、新たな潤滑剤を開発中である。関節鏡下の手術手技を用いた、臨床応用が実現可能であり、関節鏡視下手術に即した治療体系を開発中である。この結果をふまえて、来年度以降の実験計画はおおむね申請時の計画にそって遂行してゆく。
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