研究課題/領域番号 |
14571402
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中村 雅也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30217898)
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研究分担者 |
渡辺 航太 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60317170)
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60160694)
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キーワード | 脊髄損傷 / 神経幹細胞 / 再生 / 齧歯類 / 細胞外基質 / インターロイキン6 / セマフォリン |
研究概要 |
損傷脊髄の再生を目的とした神経幹細胞移植療法を確立するために、齧歯類(マウス、ラット)霊長類(サル)を用いた基礎的研究を行っている。昨年度は、1)神経幹細胞移植の時期の検討 2)サル脊髄損傷モデルの確立、3)サル脊髄損傷に対する神経幹細胞移植の有効性を報告した。今年度は、これらをさらに臨床応用に一歩近づけるための基礎的研究として齧歯類(マウス、ラット)を用いた以下の実験を行った。1)移植方法の改良(細胞外基質の併用)、2)損傷脊髄内の微小環境の修飾(IL-6受容体抗体の併用)、3)軸索伸展阻害因子であるセマホリン3A阻害剤の併用などの研究を行い、神経幹細胞移植法の改良を試みた。1)細胞外基質の併用:先ず、collagen type Iを用いたラット神経幹細胞の3次元培養システムを確立した(至適コラーゲン濃度、細胞密度の決定)、次にラット脊髄損傷後9日にcollagen type Iとともに神経幹細胞移植を行ったところ、より良好な移植細胞の生着と運動機能の回復がみられた。2)脊髄損傷後に発現の増加が見られるIL-6やCNTF等のgp130を介したsignalが内在性及び移植神経幹細胞をアストロサイトヘと分化誘導する因子の一つと考え、損傷脊髄にIL-6受容体抗体を投与したところ、損傷部周囲のグリア組織の有意な縮小と運動機能の回復がみられた。3)グリア瘢痕組織内に存在し軸索伸展を阻害するセマフォリン3Aに対する阻害剤を用いて、損傷軸索の再生と機能評価を行った。薬剤投与群では、損傷部を貫き再生した軸索が数多くみられ、運動機能も有意に良好な回復がみられた。
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