昨年度は、アパタイトファイバースキャフォルドと骨髄細胞の石灰化から構築した骨状組織(培養骨)の臨床応用を目指し、実験動物モデルの検索を行ない、ラット及びヌードマウス背部皮下インプラントによる生体内反応を調査した。具体的には、1.細胞成長因子であるrh-BMP2を5μgしみこませたHAシートを7週齢ラット背部皮下に移植した。2.6×10^6個の骨芽細胞様細胞をHAシートに播種し、2週間培養後、シートを4分割し、そのうちのひとつをヌードマウス背部皮下に移植した。これらを移植後2週目〜8週目に試料を取り出し、レントゲン撮影、光顕にて観察を行った。その結果、1.2.のどちらの実験においても細胞成長因子(rh-BMP2)付アパタイトファイバーおよび培養細胞付アパタイトファイバーは移植後2週以降で骨化を呈した。よって、アパタイトファイバーは生体内において骨芽細胞、BMPの担体として適していることが確認できた。今年度は、再生培養骨の作製条件、すなわち、アパタイトシートの気孔率、播種細胞数、細胞成長因子(主にBMP-2)の添加量、培養期間をそれぞれ系統的に変化させ、種々の再生培養骨を作製した後、ヌードマウスおよびラット皮下に移植して生体内反応を検討する。骨形成の状態を光学顕微鏡おび電子顕微鏡により観察し、骨芽細胞に特異的なオステオカルシンなどの発現をRT-PCR法により測定し、骨形成に最適な再生培養骨を決定する。臨床応用を指向して、ラット頭蓋骨、脊椎骨欠損モデルにも再生培養骨の移植を行ない、その有効性につき同様な手法で評価する。
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