In vitro実験【目的】幼若細胞である骨髄間葉系細胞と髄核細胞との共培養にて、髄核細胞活性化を試みた。【方法】家兎骨髄より骨髄液を採取、培養した。次いで、同種家兎御椎間板より髄核細胞を回収した。髄核細胞を5×10^4個ずつ12穴のカルチャープレートに播種し、各ウェル中に底面が膜孔径0.45μmのカルチャーインサートを留置した。インサート内に骨髄間葉系細胞を同数播種したN+B群、インサート内に骨髄間葉系細胞の上清を添加したN+F群、インサート内に播種や添加を行わないN群、以上3群を作製した。【結果】N+B群、N+F群の髄核細胞の方が単層培養を行った髄核細胞より明らかな細胞増殖を認めた。BrdUの取り込みは、N+B群:3.419±0.178nm、N+F群:3.407±0.151nm、N群:2.827±0.152nmであった。N+B群、N+F群の方が有意に高値であった。 In vivo実験【目的】骨髄間葉系細胞との共培養で得られた髄核細胞の再挿入による椎間板変性過程の影響についてin vivoで検討した。【方法】家兎10羽に椎間板変性モデルを作製した。2週間後対側より展開し、4/5椎間板にB群、5/6椎間板にF群、6/7椎間板にN群をそれぞれ0.02cc挿入し、3/4椎間板には再度穿刺のみ(S群)を行い、2/3椎間板はコントロール(C群)とした。再挿入後、2、4週で5羽ずつ屠殺し評価した。【結果】C群は変化なく、S群で線維輪は強い蛇行と断裂を認めた。B、F、N群では髄核が残存しており、線維輪の蛇行はS群と比較して軽度であった。とくにB、F群の椎間板ではN群よりさらに変性変化は抑制されていた。 【考察】今回、骨髄間葉系細胞との共培養で活性化された髄核細胞の再挿入は、単層培養した髄核細胞よりさらに椎間板変性の経時的進行を遅らせることができ、臨床応用の可能性が期待された。
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