今回我々は鶏胚の幼若大腿骨下端を用い、DMSOを基にした凍結保護剤でプログラムフリーズしたものと各種容器でガラス化して凍結したものを液体窒素中(-196℃)で保存した。凍結保存骨を融解して、授精9日の鶏胚より作成した漿尿膜培地で10日間培養した。 培養した骨を採取し、軟X線撮影後、組織学的観察を行うとともにサフラニン0染色、トルイジンブルー染色による軟骨基質の染色性を観察した。DMSOを基にした凍結保護剤でプログラムフリーズしたものでは、軟X線像は非凍結の対照に比較してやや劣るものの骨端部比較的良好に長径、横径とも成長していた。ガラス化群でもチューブ内のシート上で凍結した群は比較的良好に成長していたが、ポリエチレンパックを使用した群は成長が悪かった。組織学的には、非凍結の培養骨では長径、横径とも良好に成長し、軟骨基質の染色性も良好であった。プログラムフリーズ群では長径、横径の成長は比較的良好で軟骨基質の染色性も良好であった。 次にDMSOを基にした凍結保護剤で汎用型冷凍庫を用い、-10℃、-20℃、-40℃、-80℃に、または液体窒素(-196℃)中で凍結保存した。解凍後、授精9日の鶏胚より作成した漿尿膜培地で10日間培養した。培養した軟骨を採取し、凍結軟骨のviabilityを評価した。DMSOを基にした凍結保護剤で凍結保存したものは、-80℃、-40℃、-196℃の順にviabilityが温存された。-10℃、-20℃で凍結したものは生存しなかった。凍結保護剤で処理しなかった群(対照)は各温度とも軟骨のviabilityは温存されなかった。
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