研究概要 |
培養液中のヒアルロン酸分子量の差により牛培養軟骨が産生するフリーラジカル発生に差があるかどうかをみた.牛軟骨を単層培養とし,ヒアルロン酸無添加群,合成高分子ヒアルロン酸(分子量210万)添加群と合成低分子ヒアルロン酸(分子量60万)添加群に分け検討を行った.(1)IL-1β刺激によりフリーラジカルを強制発生させ,培養液中に産生されたフリーラジカル(SOはArgus50により、NOはNO2/NO3 Assay Kit-C2により、OH-はArgus50によりそれぞれ検討)を測定した結果,ヒアルロン酸無添加群に比較して,ヒアルロン酸添加群でのフリーラジカルの発生は抑制されたが,ヒアルロン酸分子量210万と60万での有意な差は認められなかった.(2)次に、培養液中の酸化物をFRAS4フリーラジカル分析システムによる測定したが,ヒアルロン酸無添加群に比較して,ヒアルロン酸添加群でのフリーラジカルの発生は抑制されたが,ヒアルロン酸分子量210万と60万での有意な差は認められなかった.(3)さらに、マンガンスーパーオキサイドディスムターゼ(Mn-SOD)の遺伝子発現状況を3群間でPCRを用いて比較検討したが,ヒアルロン酸添加群・無添加群で有意な差を認めなかった. 今後,外因性に添加された合成ヒアルロン酸だけでなく,軟骨細胞自身から合成放出される内因性ヒアルロン酸に関して分子量による作用の違いを検討し,生理的な高分子量ヒアルロン酸のもつ軟骨保護作用としてのフリーラジカル消去を示したいと考える.
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