研究概要 |
1)上気道の呼吸神経調節を考える上で重要となる解剖学的要因が,発達・成長に伴いどのように変化するかを咽頭の閉塞性に注目して研究を行った.過去の乳児を対象とした我々の研究で,咽頭の閉塞性は年齢とともに低下することを報告した(Am. J. Respir. Crit Care Med. ; 162:832-836)が,今回は体位によって咽頭の閉塞性がかわるか,体位がかわっても咽頭の閉塞性は年齢による影響が大きいかを,より年長児も対象に入れ検討した.咽頭の閉塞性は腹臥位において大きく,年齢による影響は背臥位で保たれていたが,腹臥位で消失した.研究成果は英文誌(Am. J. Respir. Crit Care Med. ; 166:760-764)に発表した. 2)喉頭から誘発される気道防御反射について,麻酔深度と年齢の影響を検討した.喉頭から誘発される気道防御反射は,咳・呼気反射,嚥下反射などのactive reflexと喉頭閉鎖反射,喉頭痙攣,無呼吸反射などのpassive reflexに大別できる.14週から11歳までの20人をセボフルレンの麻酔深度(1%または2%)により2群に分け,蒸留水による刺激を喉頭に与え,誘発される防御反射を観察した.麻酔深度セボフルレン1%ではpassive reflex, active reflexの両者が観察されたが,セボフルレン2%ではpassive reflexは観察されたもののactive reflexは観察されなかった.年齢による違いは認めなかった.研究成果は2002年アメリカ麻酔科学会において発表した.
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