研究課題/領域番号 |
14571428
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
森田 耕司 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (30115513)
|
研究分担者 |
風間 富栄 防衛医科大学校, 医学教育部, 教授 (40158837)
|
キーワード | 薬物動態 / 3コンパートメントモデル / 希釈モデル / シーケンシャルコンパートメント / 静脈麻酔薬 / プロポフォール |
研究概要 |
動物実験(豚9頭)において、プロポフォール定量注入(注入率:2mg/kg/min)を5分間行い、その後注入を停止した。血液サンプルを10秒おき(注入後1分まで)30秒おき(注入後1-5分間まで)、10秒おき(注入後5-6分まで)、30秒おき(注入後6-10分まで)、10分おき(10-50分まで)その後80分、110分、160分までコンピュータ制御によるフラクションコレクターにより採血した。サンプルされた血漿を高速液体クロマトグラフィーにて分析し、血漿濃度を測定した。濃度の時系列データと投与量から、薬物動態学(phamacokinetics)に従い3コンパートメントモデルにおけるPKマイクロ定数を最小自乗法により求めた。 すべての動物で、注入完了後のプロポフォール濃度の時間推移は3コンパートメントPKモデルとほぼ完全に一致したが、定率注入中ならびに直後の濃度推移は、3コンパートメントモデルと大きく解離した。このことより、希釈モデルの必要性が確認された。希釈モデルとして、シーケンシャル接続のマルチコンパートメントを従来型の3コンパートメントモデルに付け加え、中央コンパートメントの時間推移を計算すると実測値をうまく説明できる。今回、高率の定速注入を使用したため、シーケンシャル接続のみを仮定することで十分な精度をもたらしたが、仮にボーラス投与を用いた場合は、シーケンシャル接続の複接続(並列シーケンシャル)モデルも考慮することも必要であろう。それは、ボーラス直後の濃度推移曲線に山が2つ存在することを説明するためである。 今回、3コンパートメントモデルにシーケンシャルコンパートメントからなる希釈モデルを組み込むことにより、注入直後あるいは、大量投与直後の時間推移を予測できた。過渡的な時間推移の経過後は、従来の3コンパートメントモデルに移行するため、長時間の時間推移も予測できた。このことより過渡的モデルから定常モデルへ軟着陸するハイブリッドモデルと我々は名付ける。
|