臨床研究として、ACE遺伝子多型解析とAGT遺伝子多型解析を同時におこないニューロパシックペイン患者における遺伝的多様性を検討した。ACE遺伝子は490bp(II型)、490および190bp(ID型)、190bp(DD型)に分類し、AGT遺伝子多型はエクソン2に存在する遺伝子多型であり(M235T、T174M)、ACE遺伝子多型と同様にエクソン2の遺伝子増幅をおこなった。この結果ACE遺伝子多型のなかでDD型遺伝子は約1/3の患者で観察された。日本人におけるDD型は18%前後と報告されており、きわめて高頻度であった。AGT遺伝子多型はニューロパシック患者15名でのデータでは健常者と有意差はでてきていない。今後患者数を増やす予定である。 野物実験として、絞扼性神経損傷モデルにて、不完全神経損傷モデルを作成し、中枢内レニン・アンジオテンシン系遮断目的で、アンジオテンシンII、1型受容体のmRNAのアンチセンスODN(5'-TAACTGTGCCTGCCA-3')50μgを5μLの人工髄液で溶解してマイクロシリンジで、手術部位と反対側の室傍核(Paraventricular Nucleus)に投与した。この締果、レニン・アンジオテンシン系を遮断された自然高血圧発症ラットでは、平均血圧が約30mmHg低下した。またCCIモデル作成後、Heat allodyniaは有意に認められたが、Mechanical allodyniaは有意差がでなかった。以上より中枢内レニン・アンジオテンシン系の遮断では、降圧効果が生じたが、末梢での神経因性疼痛発現には殆ど影響を示さなかった。自然高血圧発症ラットに対しての中枢内AS-ODN投与によるレニンアンギオテシン系の遮断は血年低下を生じさせるが、CCI(慢性神経因性疼痛モデル)でのnociceptionには影響しなかった。
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