1)日帰り(1泊後帰宅も含む)全身麻酔患者を対象とし、麻酔時間の術後回復に対する影響を検討した。麻酔時間と回復室入室後より帰宅基準(PADSS≧9)に到達するまでの時間の間には有意の正の相関関係が存在した。麻酔時間が長いほど術後回復が遷延する傾向があることが明らかとなった。 2)セボフルラン吸入麻酔による日帰り(1泊後帰宅も含む)全身麻酔患者を対象とし、麻酔前補液(500mL)の術後回復に対する影響を検討した。補液を行った患者群では行わなかった患者群に比べて、回復室入室後より帰宅基準(PADSS≧9)に到達するまでの時間が短かった。補液は術後回復を促進させることが明らかになった。 3)乳癌短期滞在手術患者を対象とし、セボフルラン全身麻酔におけるフェンタニル併用の有無の術後回復に対する影響を検討した。フェンタニル併用患者群では併用しなかった患者群に比べ、術後嘔気嘔吐頻度が高く、帰宅基準(PADSS≧9>に到達するまでの時間が長かったこ。セボフルラン全身麻酔におけるフェンタニル併用は術後回復を遷延させることが明らかとなった。 4)モデル予測制御法を用いたBispectral index (BIS)を指標とする静脈麻酔薬プロポフォール投与の自動制御システムを開発し、臨床応用を行った。自動制御によるプロポフォール全身麻酔は、麻酔科医による手動制御よりも、薬物投与量が抑制され、BISをより正確に目標値近辺に維持できることが明らかとなった。 5)ラット培養気管繊毛上皮細胞を用いて吸入麻酔薬イソフルランの繊毛運動に対する効果を検討した。イソフルランは投与1分後より繊毛運動を濃度依存性に抑制すること、イソフルランには繊毛運動亢進作用はみられないことが明らかとなった。
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