研究分担者 |
井上 隆弥 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00335358)
林 行雄 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60294063)
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
宮内 哲 独立行政法人通信総合研究所, 関西先端研究センター・知覚機構研究室, 室長
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研究概要 |
近年,脳機能画像を用いてさまざまな痛み刺激に対する脳の認知機構の研究がおこなわれている。しかし,熱刺激や冷刺激,電気刺激による研究が主で,機械的侵害刺激に対する脳の活動を調べた研究は少ない。我々は,Functional MRIを用いて,機械的侵害刺激に対する認知機構を解析した。12名の健康成人の効き足の足背部に対して,針付ローラーによる刺激,針付プレートの刺激,タオルによるブラッシングの3種類の刺激を与え,脳の活動部位を検討した。6秒間の刺激のオンオフを3回繰り返した。MRIはGE社製,1.5Tを用い,single-shot gradient-echo EPI sequence(TE :40ms, TR :3s, flip angle :90度,matrix :64X64,FOV :300X300mm, Slice thickness :3mm)による撮像を行った。画像解析にはSPM99を用いた。針付ロMラーによる刺激と針付プレートの刺激では痛みの強さは,(numerical rating scale)はほぼ7で同じであった。機械的侵害刺激により大脳皮質の一次二次感覚野,島,前帯状回,頭頂連合野,補足運動野に活動が見られた。タオルによるブラッシングでは大脳皮質の一次感覚やのみに活動が見られた。針付ローラーの刺激のほうが活動が強く,両側の大脳皮質の第二次感覚野の全体にわたり活動がみられたのに対して,針付プレートによる刺激では,大脳皮質の第二次感覚野の後方にのみ活動が見られた。動的な痛みと静的な痛みとで,脳の活動部位に違いが見られたことは,同じ機械的刺激でも認知機構が異なることが示唆された。
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