研究概要 |
近年、脳神経外科領域では良好な手術視野を得るため、高輝度・高倍率の手術用顕微鏡を使用するようになった。以前はハロゲンランプを光源に用いていたが、最近の手術用顕微鏡はキセノンランプを使用している。キセノンランプはその光特性として365nmの紫外領域に強いピークを持ち、神経細胞障害を起こす可能性がある。そこで、ラットの左頭頂骨に2mm×2mmのcranial windowを開け、365nmの紫外線フィルターを装着した200wキセノンランプを用い、紫外線(365nm)を照射した。0,0.3,1.3,4.4,9.6mwatts/cm2のニネルギーレベルで30分間の照射により0 0%,0 0%.9 6%,42 23%,90 4%の経細胞が照射24時間後に組織学的障害が認められた。ロジスティック回帰分析により、神経細胞障害を引き起こす、紫外線強度は以下のように算出された。 30%の神経細胞障害を引き起こす紫外線強度は3.7mwatts/cm2 50%の神経細胞障害を引き起こす紫外線強度は5.4mwatts/cm2 70%の神経細胞障害を引き起こす紫外線強度は7.1mwatts/cm2 現在、臨床で使用されている手術用顕微鏡の紫外線照射強度を測定したところ、最も多いもので0.320mwatts/cm2であった。神経細胞障害を引き起こす域値の10%以下であり、急性の組織障害を生じる可能性は低いと考えられた。
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