研究課題/領域番号 |
14571442
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
溝渕 知司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70311800)
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研究分担者 |
中塚 秀輝 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70263580)
高橋 徹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40252952)
横山 正尚 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20158380)
二宮 善文 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70126241)
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キーワード | 痛み / 遺伝子治療 / 難治性疼痛 / 内因性オピオイドペプチド / 疼痛メカニズム |
研究概要 |
本研究課題では、臨床で未解決な癌性疼痛や神経因性疼痛などの痛みに対する新しい治療法の開発として分子生物学的手法を用い内因性オピオイド(βエンドルフィン,エンケファリンなど)を脊髄内で発現させ痛みを軽減することを最終目標に研究を行った。 平成15年度に本研究課題に関して我々が得た結果の主なものは以下の3点がある。まず第一に、急性炎症性疼痛モデルにおいて、疼痛の指標の一つとされるFOS蛋白およびc-fos mRNAが注入1時間後に最強発現し、また、その発現部位が時間経過とともに脊髄後角深層に移行し強く発現することを確認した。第二に、術後痛モデルにおいても脊髄後角にFOS発現が時間経過とともに一過性に認められ、局所麻酔薬であるリドカインあるいはブピバカインの術前投与は疼痛行動に対しては修飾作用をもつが、脊髄の遺伝子発現は一過性であることを見いだし論文とした。これらの結果は、臨床で見られる炎症および手術のよる侵害刺激が疼痛行動を引き起こすだけでなく、疼痛消退後にも脊髄内で疼痛関連遺伝子が発現することを示しており、またその発現部位が変化したことは介在ニューロンなどを介した脊髄内での疼痛伝達の修飾が起こっていることを示すものと考えており、その修飾過程の一因は内因性オピオイドペプチドを介した下行性疼痛抑制系の賦活によるものでないかと考えている。第三に、脊髄後角に疼痛関連遺伝子を導入しタンパクを発現させることとして、ケンタッキー大学生理学教室の協力を得て脊髄後角にGFP(green fluorescent protein)発現ベクター(アデノウイルス)を注入し、注入1週間後にはGFPが脊髄後角で発現することを確認している。
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