今年度(初年度)の成果 本年度はラットの心臓を摘出し、新鮮心筋細胞を単離することに成功した。 詳細(心筋の単離方法の確立) 4週齢から6週齢の雄のSprague-Dawleyラットを使用し、断頭法にて心臓に薬物の影響を加えない状態で、迅速に取り出し、ランゲンドルフ回路を改良した心臓還流装置に設置した。当初摘出心臓をランゲンドルフ変法回路に設置するも拍動の再開が得がたく、還流液の組成・温度に改良を加え、またカニューレの太さ・挿入長等にも改良を加え心拍の再開が得られるようになった。 次に、カルシウムのキレート剤であるEDTAを付加し心臓の収縮を停止させた後、酵素を加えて心筋の分離を図った。心筋の酵素分解に使用するコラゲナーゼの選択・プロテアーゼの選択を行い酵素分解にて良好な心筋細胞が多数得られるロット番号の選択を行った。酵素の使用量により細胞の過分解や分解不足が生じるため、用量の選択にも回数を重ねた。 回路および使用酵素に改良を重ねた結果、最終的には、辺縁がしっかりとした長方形型の電気刺激にて良好の収縮能を有した新鮮心筋細胞を多数単離することに成功した。 来年度は、この単離心筋から細胞内伝達物質であるcyclic adenosine monophosphate (cyclic AMP)を抽出することと、静脈麻酔薬・β刺激剤などのカテコラミンに暴露された状態でのcyclic AMPを測定することを予定している。
|