研究概要 |
2年度(平成15年度)の成果 本年度は,昨年度確立した方法により得られたラットの新鮮単離心筋細胞から,細胞内伝達物質であるcyclicAMPを抽出することに成功した。心筋刺激薬によるcyclic AMPの増加を捉えることができた。また,その抽出方法を改良することにより手順を簡便にでき,かつより多くのcyclic AMPの抽出が可能となった。 詳細(cyclicAMPの抽出法の確立) 単離した心筋細胞を37℃でインキュベーションした後,cyclic AMPの代謝による分解を防ぐため液体窒素で生体反応を停止させた。生体反応を停止させた単離心筋細胞を解凍と冷凍を繰り返した後,ホモジェナイズし,細胞内のcyclicAMPを抽出した。当初,測定限界以内にcyclicAMPを抽出することが困難であったためサンプルのアセチル化をおこなっていた。その後,ホモジェナイズの方法・抽出液の選択(trichloroacetic acidとエーテルからエタノールのみに変更)など抽出方法に改良を重ね簡便で,効率よくcyclicAMPを抽出することが可能となった。そのためサンプルのアセチル化の必要性もなくなり,測定値のばらつきが抑えられ信頼性が向上した。抽出したcyclicAMPはEnzyme Immunoassayにより測定し,再現性のある値を得られるようになった。当初の目的のひとつであるイソプロテレノール・塩酸オルプリノンなどの心筋刺激薬を暴露した状態で,cyclicAMPの抽出測定を行えるまで至った。 来年度は,最終目的である心筋刺激薬に加え静脈麻酔薬に暴露した状態でのcyclicAMPの抽出測定を予定している。
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