研究概要 |
最終年度(平成16年度)の成果 本年度は,昨年度までに確立した方法により得られたラットの新鮮単離心筋細胞から,細胞内伝達物質であるcyclicAMPを抽出する手技を用い、心筋刺激薬に加え静脈麻酔薬に暴露した状態でのcyclicAMPの抽出測定を行い、心筋刺激薬および麻酔薬によるβ刺激伝達系にたいする影響を観察した。 β刺激薬であるイソプロテレノールをラット心筋細胞に暴露し、cyclicAMPの増加を確認した。 静脈麻酔薬であるプロポフォールをそれに暴露したところcyclicAMPの低下を確認した。この実験から、プロポフォールにはβ刺激伝達系を抑制する作用があることが確認された。 さらに、phosphodiesterase III阻害剤である塩酸オルプリノンを加えることにより、プロポフォールの抑制作用をリバースできることを確認した。このことから、プロポフォールにより心抑制が生じた場合でも異なる種類の心刺激薬を投与すれば心機能は保たれる可能性が示唆された。 (ASA annual meeting 2004で発表) プロポフォールの作用部位を研究するため、G蛋白刺激薬であるコレラ毒素とプロポフォールを用いcyclic AMPを測定した実験を行い、プロポフォールはコレラ毒素によるcyclic AMP産生を増強させることを確認した。このことから、プロポフォールの作用には、G蛋白が関与していることが示唆された。(IARS annual meeting 2005で発表)
|