研究概要 |
近年手術適応が拡大し集中治療での管理技術も発展してきた。特に急性腎不全に陥っても早期に透析を行い、経過を観察すると多数の症例で可逆的に腎機能の改善が見られ、体液水分管理特に腎機能管理はもはや重要な項目ではないとの意見がだされるほどである。しかし、腎機能の悪化と透析治療がDICや多臓器不全にまで拡大することも事実であり、侵襲早期における腎機能の検知がその後の治療に大きく影響をおよぼすことは事実である。 腎機能検査において、血清電解質濃度は常に非常に狭い範囲に調節を受けており,よほどの異常が無い限り,血清電解質濃度差異は生じない.一方,尿電解質濃度を測定すると,その正常値などあり得ないほど測定値の示す範囲が広い.この結果より、従来の考え方では血液には正常値が存在するが、尿分析には正常値が存在しないと言われ、今日に至っている。しかし、尿分析も経時的、連続的に行うとカリウム排泄、ナトリウム再吸収、尿素、クレアチニンその他の排泄物質はダイナミックに変動していることがわかる。これらの因子を分析することにより、患者の体液水分調節機能が経時的に掌握することが可能となる。尿分析の連続測定は血圧、脈拍などの循環因子が連続測定されるに至った道のりと同様に今後大きく発展するものと思われる。 本年度において連続尿分析装置として、コンピュータバックアップインターフェース、連側尿量観測装置、電解質としてフローセルタイプのナトリウム、カリウム、塩素、マグネシウム電極を作成した。鋭意収集治療室での測定を行っているが、その結果、ナトリウムと塩素イオンの相関は大変高いがガリウムと塩素との相関が低いことをみとめた。
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