【目的】終末期に患者中心の医療を求める市民の要求は大きくなっているが、医学教育において緩和ケアの卒前教育はいまだ確立されていない。医学生の緩和ケア理解を深めるために臨床現場で必要とされる項目と講義方法について意識調査を実施した。 【方法】緩和ケアの実践で求められる卒前に習得すべき項目と教育効果を高める方法について、認可されている緩和ケア専門施設120の医師ヘアンケートを送付し、92施設(回収率76.7%)の回答をもとに検討した。 【結果】緩和ケアを促進するためには1.系統的な緩和ケア講義が必要(93.5%)。2.大項目は全人的ケアに重点をおいた緩和ケア総論とする(64.4%)。中項目では疼痛管理に重点をおき(94.4%)、小項目では第一にトータルペイン(40%)、ついで身体的痛み(33.3%)、薬物療法(24.4%)を学ぶ。3.講義方法は項目に合致した事例提示(60.9%)と多職種指導(56.5%)の講義形式が薦められる。ロールプレイの採用(59.5%)が効果的である。4.緩和ケア理解のために専門施設の体験学習は必要。5.医学生に望まれる資質は思いやり(51.6%)と謙虚(18.7%)である。コミュニケーション力(53.3%)と協調性(35.6%)を身に着ける教育が必要である。アンケート結果の詳細は第9回日本緩和医療学会で報告する予定である。 【まとめ】医学生の緩和ケア理解を深めるためには緩和ケアを実践している臨床現場の声を反映した教育カリキュラムを開発する必要がある。
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