【目的】終末期に患者中心の医療を行うために緩和ケアは不可欠である。医師の理解を促進するためには医学卒前教育に緩和ケア教育を行う必要がある。カリキュラムに緩和ケアの臨床現場で求められている知識と技能を調査してフィードバックすることを目的に調査研究を行った。 【方法】緩和ケアの実践に必要な卒前に習得すべき項目と教育方法について緩和ケア専門施設の看護師(平成14年度112施設に送付、回答87)と医師(平成15年度120施設に送付、回答92)にアンケート調査を行った。 【結果】現状で医師の緩和ケア理解を妨げている原因は緩和ケアの知識不足である。緩和ケア促進のためには下記に重点をおいた卒前教育が必要である。 1.系統的緩和ケア教育の必修化 2.トータルペインの理解 3.身体的痛みの緩和に関する知識と技能の習得 4.事例にもとづく多職種が関わる講義形式を採用 5.緩和ケアを実践する医師の意見を取り入れた教育 6.コミュニケーション・スキルの習得 7.謙虚、真摯、協調性に富む態度の養成 【まとめ】医学生の緩和ケア理解を促進するためには、緩和ケアの臨床で求められている知識と技能を重視し、成熟した人間形成を目指したホリスティック・アプローチにもとづくカリキュラムを作成し卒前教育に必修とする必要がある。
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