研究課題
基盤研究(C)
【目的】本研究は、最終的には頚動脈小体における酸素感知機構の解明を目的とする。初期研究として「オピオイドやベンゾジアゼピンなどの麻酔関連薬物の頚動脈小体酸素感知機構への影響を調べ、酸素感知機構に関わる薬理学的受容体を検索し、酸素感知受容体の薬理学的特性を調べること」を目的とし、「通常状態あるいは低酸素状態に暴露された頚動脈小体がベンゾジアゼピンの影響を受け、延髄呼吸中枢への恒常状態維持のためのシグナル発射頻度が減少する」という仮説を立てた。【方法】New Zealand White Rabbitを対象とした。頚動脈小体、頚動脈洞神経を総頚動脈と共に一塊として摘出し、これを灌流槽内におき、総頚動脈内への直接灌流と標本全体への表面灌流を行った。灌流液はmodified Tyrode's mediumを用い、酸素分圧は適宜変更し、pHとPCO_2が常に一定範囲内にあるように調整し、定圧で灌流した。評価は頚動脈洞神経から得られる神経活動電位で行なった。高酸素状態あるいは低酸素状態に標本を暴露し、良好な反応を確認した後にミダゾラムを濃度を変えて投与し、高酸素状態と低酸素状態それぞれに対する影響を調べた。【結果】標本に暴露するミダゾラムの濃度を1mg/L、10mg/L、100mg/Lと上げていくと用量依存的に神経活動電位の発射頻度が減少した。この現象は高酸素状態ならびに低酸素状態で認められた。【考察】今回の実験モデルからは、ミダゾラムの作用が頚動脈小体の酸素感知機構そのものへの影響によるものなのか、頚動脈小体から頚動脈洞神経への情報伝達への影響によるものなのかを明らかにすることが出来ないが、一般に中枢神経への作用によるものとされているベンゾジアゼピンの呼吸抑制作用は末梢受容体への作用による可能性のあることがわかった。
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