研究概要 |
【目的】脳虚血が予測される場合、何らかの処置で虚血耐性を獲得させておくことは臨床上、極めて重要であるが短時間脳虚皿などの侵襲を伴う処置によって発現することが知られているのみで、臨床応用可能な方法は未だ開発されていない。そこで非侵襲的経頭蓋磁気刺激による虚血耐性導入の可能性を調べる目的で電撃痙攣処置後の24,72、144時間の時点で致死的虚血負荷加に対する耐性獲得について検討した。 (1)脳虚血モデル作製;イソフルランで導入、気管内挿管後、40%酸素、2.0%イソフルラン、PaCO2=35-42mmHgで人工呼吸を行う。尾動脈にカニュレーションを行い、血圧、血液ガス、体温などのモニタリングを行う。 前脳虚血モデル=椎骨動脈焼却後に両側総頚動脈を確保した後、両側総頚動脈牽引(4 Vessles Model)による前脳虚血を8分間施行する。虚血の程度を脳波が平坦化することで確認した後再灌流させ、直ちに麻酔から覚醒させる。 局所脳虚血モデル=Intraluminal Methodによる45分間の一過性中大脳動脈閉塞モデルを作製する。虚血の程度をLaser Doppler血流計で確認した後再灌流させ、直ちに麻酔から覚醒させる。覚醒後はそれぞれ生存させる期間に従い、定常環境の元で食餌、飲水の制限なしで管理する。 (2)神経細胞傷害の評価;麻酔から覚醒させたラットは、24時間後、72時間後、7日後の各時点まで生存させる3群に分け、神経学的行動の検討の後、各時点で断頭し潅流固定、パラフィン包埋後、8μmのパラフィン切片を作製し、HE染色を施行し光学顕微鏡を用い病理組織学的解析を施行し、神経細胞死の程度を比較、検討する。 何れの致死的虚血に対しても電気痙攣療法は虚血耐性を獲得することが可熊であった。その程度としてはこれまで報告されている非致死的虚血負荷による耐性獲得と同程度であった。 16年度はそのメカニズムについて検討を重ねる予定である。
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