研究概要 |
1)ラット同種腎移植による急性拒絶反応モデル(alloラット)の作製 Brown Norway→Lewisへの移植により作製したallograft(n=8)において,組織学的に急性拒絶反応像(Banff分類,grade2〜3)が証明された。なを,血清学的にも尿素窒素,クレアチニンの有意の上昇が認められた。 2)移植腎組織中Nitrotyrosineの発現 alloラットにおいて,尿細管の内腔側で抗Nitrotyrosine抗体による強度の染色が認められ,傷害部位は尿細管であることが確認された。 3)移植腎組織中MnSOD活性の測定,MnSOD蛋白定量 alloラットにおいて,isoラット(Lewis→Lewis)に比較してMnSOD蛋白量の差は認められなかったが,MnSOD活性は有意に低下していた。一方,alloラットにおいて,抗Nitrotyrosine抗体による免疫沈降法によりニトロ化されたMnSOD蛋白の有意の増加が認められた。 以上より,alloラットの移植腎組織中ではNitrotyrosineが尿細管傷害に関与しており,MnSOD活性は低下し,逆にニトロ化され失活したMnSOD蛋白が増加していることが明らかとなった。今后は,MnSODの投与による移植腎傷害の早期治療,予防の可能性についても検討する予定である。
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