研究概要 |
1.Chronic Pelvic pain syndromeにおいて、慢性的あるいは繰り返し生じた下部尿路の炎症が脊髄内での神経可塑性変化を引き起こすが、そこにはsubstans P(SP)が痛み刺激のmediatorとして重要な働きをしている。そこで、前立腺の痛み刺激による脊髄内SPの免疫反応性変化とalpha-adrenergic-receptor antagonistによる脊髄内SPの免疫反応性に与える影響を検討した。 2.Male SDラットを用い、(1)コントロール群(2)前立腺に化学的刺激(5%buffered formalin 0.4ml注入)を加えたformalin群(3)formalin注人前処置として30分前にalpha1-receptor antagonistであるtamsulosin hydrochloride(TAM,0.1mg/body ; Yamanouchi Pharmaceutical, Japan)を腹腔内投与したformalin+TAM群を作成し、それぞれについて1時間後に脊髄をとりだし、ウサギanti-SP antibody (Chemicon International, diluted 1:30,000)を用いSP免疫染色を施行し評価した。評価は、L5からS2のゼグメントにおけるdorsal spinal cordでSP免疫反応性を定量化して行い、またcordのMDL、LDH、DCM、SPNの4regionについて分割して定量評価も行った。 3.前立腺刺激により、L5からS2の全てのセグメントにおいてSP免疫反応性の有意な増加を認め、4regionに分割して評価しても同様であった。またそのSP免疫反応性の増加はTAMによりL6とS1において、有意に減弱されたが、4regionに分割して評価すると減少に有意差は認めなかった。 4.前立腺の痛み刺激のmediatorとしてSPは重要な役割を示し、TAMは痛み刺激により脊髄内で誘発されたSP upregulationを減弱させる可能性が示唆された。
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