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2002 年度 実績報告書

腎細胞癌の転移における癌細胞内イオン輸送体活性の意義

研究課題

研究課題/領域番号 14571486
研究機関東京大学

研究代表者

森山 信男  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80143501)

研究分担者 関 常司  東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30206619)
キーワードヒト正常腎尿細管 / ヒト腎癌細胞 / Na-HCO_3共輸送体
研究概要

Na-HCO_3共輸送体(NBC1)は腎近位尿細管基底側に発現しておりこの部位の重炭酸輸送を司る。実際にNBC1の変異により近位尿細管性アシドーシスが生じることが示されているが、この輸送過程においてNBC1の2種のvariant(腎型輸送体kNBC1と膵型輸送体pNBC1)のうちどちらがより重要なのかはっきりと示されていなかった。さらに近位尿細管由来とされる腎癌においてもNBC1が発現しているのかどうか、またもしそうならどのような役割を持つのか全く不明であった。これらの点を明らかにするために我々は昨年度は、NBC1variantに対する特異的抗体を用いて免疫組織化学的検討を行った。その結果、ヒトの正常腎臓の尿細管上皮の基底側膜にはkNBC1蛋白のみが有意に発現していることを確認した。一方、腎癌細胞内にもkNBC1の発現のみを認めたが、この場合は、正常腎の尿細管上皮細胞と異なり細胞内に広く分布していた。このことは腎癌細胞においてNBC1が特殊な役割を担っていることを示唆しているため、さらに各種培養腎癌細胞株においてNBC1の役割を検討した。
1.細胞内pH測定を施行したところ、確かにNa-HCO_3共輸送体活性が培養腎癌細胞に存在することを確認した。
2.Western法による解析でも腎細胞癌細胞内にNBC1蛋白の発現を認めた。
3.細胞移動度の解析を行ったところ、腎癌細胞の移動能はNBC1を含む重炭酸輸送体の阻害剤であるDIDSにより著明に抑制されることが示された。
これらの知見は腎癌細胞の転移機構においてイオン輸送体、特にNBC1が重要な働きをしていることを示唆している。現在さらにNBC1の特異的阻害剤の効果を検討中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Shindo, T., 10 authors.., Moriyama, N., et al.: "Renal damage and salt-dependent hypertension in aged transgenic mice overex-pressing endothelin-1"J.Molec.Med.. 80. 105-116 (2002)

  • [文献書誌] Shindo, T.,..16 authors.., Moriyama, N., et al.: "Kruppel-like zinc-finger transcription factor KLF5/BTEB2 is a target for angiotensin II signaling and an essential regulator of cardiovascular remodeling"Nature Med.. 8. 856-863 (2002)

  • [文献書誌] Satoh, H., Moriyama, N., et al.: "Localization of NBC-1 isoforms in rat and human pancreas : a possible link between pNBC-1 inactivation and pancreatic dysfunction"Am.J.Physiol.Cell Physiol.. 284. C729-C737 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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