研究課題/領域番号 |
14571487
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西松 寛明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60251295)
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研究分担者 |
平田 恭信 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70167609)
武内 巧 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (90167487)
鈴木 越 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40313134)
北村 唯一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70010551)
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キーワード | ラット / 海綿体機能 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成補酵素 / 臭化ビオプテリン / スタチン |
研究概要 |
【目的】インスリン抵抗性状態では内皮機能障害が存在するが、機序については不明な点が多い。高脂血症治療薬のstatinやアドレノメデュリン(AM)はphosphatidylinositol-3 kinase (PI3K)/Akt系を介するNOの遊離が示されている。本研究では海綿体機能を特に血管内皮機能を中心とした検討を行い、インスリン抵抗性を示すZuckerラットに一酸化窒素合成補酵素である臭化ビオプテリン(BH4)ならびにstatinを投与してインスリン作用と内皮型NO合成酵素(eNOS)の活性化の両者に関与するPI3K/Akt系について解析した。【方法】A)BH4は通常の8週齢ならびに25週齢のWistarラットに経口で6週間投与して検討を行った。B)次にスタチン投与モデルについては1)16週齢Zucker対照ラット(C群)、同肥満ラット(Fa群)、ならびに生後12週から4週間、fluvastatin 5mg/kgを投与した肥満ラット(S群)の海綿体機能を電気刺激により検討した。2)海綿体を摘出し、eNOSやAMによるAktリン酸化をWestern blotにより解析した。【成績】A)BH4投与モデルに関しては8週齢モデルにおいてはBH4非投与モデルと投与モデルにおいて勃起機能や海綿体の一酸化窒素合成能に大きな変化を認めなかったが、25週齢モデルでは、電気刺激による勃起機能の改善を認めた。また一酸化窒素合成酵素のNO合成能に関しても1.7倍の合成能亢進が認められた。BH4の投与では高齢ラットで一酸化窒素合成能力が低下したモデルにおいて海綿体機能の改善が認められた。B)次にスタチン系薬剤を投与したモデルにおいては、1)収縮期血圧や血清総コレステロール濃度ではC群よりFa・S群で高かったが、両群間では有意差を認めなかった。電気刺激による海綿体内圧はC群に比べFa群で減弱していたが、S群はC群と同程度であった。2)Western Blotでの検討で、eNOSはFa群に比べS群で1.6倍に増加し、AM 10-7M 15分刺激時のAktリン酸化はFa群でC群より低下していたが、S群はFa群の約1.5倍に増加した。このAktリン酸化はLY前投与にて3群とも抑制された。【結論】一酸化窒素合成補酵素であるBH4は高齢や動脈硬化を来したラットモデルにおいてNO合成能を改善した。またstatinはZuckerラットにて内皮依存性血管拡張反応を改善した。またWesternの結果からもstatinはPI3K/Akt経路を介してeNOSを活性化し、内皮機能を改善させると考えられた。
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