研究概要 |
【方法】(1)MDCK細胞を培養しHGF(0,10,100ng/ml)を投与し、シュウ酸カリウム溶液(0.25mM pH6.5)又はシュウ酸カルシウム結晶溶液(500μg/ml)を添加、経時的に培養上清のLDH値を測定した。(2)MDCK細胞を培養し洗浄後、HGF(0,10,100ng/ml)とCOM結晶溶液(500μg/ml)を加え15分incubate。上清を捨て細胞に付着していない結晶を除去し、細胞に付着している結晶を溶解しカルシウム濃度を原子吸光分析で測定し結晶量を定量、付着抑制活性を計算した。(3)ラット結石形成モデルは0.5%エチレングリコールを連日及び0.5μg Vit.D3を隔日、強制投与。高シュウ酸尿モデルは0.5%エチレングリコールのみ、コントロールは蒸留水を投与。各モデルの腎におけるHGFをELISA法で測定し、免疫染色で検討した。(4)MDCK細胞にラット由来のfibronectinを遺伝子導入し、蓚酸カルシウム結晶曝露によるMTS assayをおこなった。【結果】(1)in vitroにおいてHGFはシュウ酸カリウム、シュウ酸カルシウムによる細胞傷害抑制作用を認めた。シュウ酸カリウム曝露によるLDHは時間依存性に増加傾向を示した。しかしHGFの投与によりLDHは濃度依存性に減少する傾向にあり、30分、45分では有意差を認めた。シュウ酸カルシウム曝露によるLDHも時間依存性に増加傾向を示し、HGF投与により濃度依存性に減少する傾向にあった。(2)HGFによるCOM結晶付着抑制を認め、HGF(-)と10ng/ml, HGF(-)と100ng/mlでそれぞれ有意差を認めた。(3)3群において結石形成モデルのみシュウ酸カルシウム結晶の沈着が認められた。結石形成モデルにおいて、HGFは多くの尿細管と一部の間質で発現し、さらに結石の付着した尿細管に強い発現を認めた。コントロールでは一部の間質で発現を認める以外ほとんど発現を認めなかった。ラット結石形成モデル腎において結晶の付着した尿細管にHGFの強い発現を認めた。(4)遺伝子導入細胞ではcell viabilityが他の群に比較し有意に高かった。【考察】結石形成とHGF発現の関連が示唆された。また、fibronectinnは結石形成に阻害的に働くinhibitorのひとつと考えられた。
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