研究課題/領域番号 |
14571512
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
橋本 良博 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40244561)
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研究分担者 |
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30122047)
中西 真 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40217774)
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キーワード | ステロイド受容体転写共役活性化因子 / 前立腺癌 / ホルモン耐性 |
研究概要 |
ステロイド受容体転写共役活性化因子(SRC)の発現量が高くなると前立腺癌の悪性度も高くなり癌細胞増殖能を高め、ホルモン耐性能、転移能を獲得すると予想している。前立腺癌の悪性度が高く、ホルモン耐性の細胞株はSRC-3の発現量も高く、細胞株の種類によってSRC-3の発現量も異なっていた。SRC-3の発現がほとんど認められない前立腺癌株LNCaPにSRC-3を導入し、SRC-3永久発現細胞を確立したが、全クローンともSRC-3の発現は低く、高発現細胞を確立できなかった。次にRU486で発現量を制御するシステムを用いたSRC-3発現ベクターをアンドロゲン依存性前立腺癌株LNCaPに導入し、SRC-3永久発現細胞を樹立した。これらの細胞を用いて、SRC-3に結合する因子としてIKKを発見した。さらに、SRC-3はIKKによりリン酸化され、リン酸化されたSRC-3がTNF-αと反応して細胞質から細胞核に移動することを確認した。NFκBと宿主免疫、炎症反応との関与が知られているが、SRC-3ノックアウトマウスの脾臓組織内でNFκBのターゲット因子であるinterferone regulatory factor-1の発現が低下していることから、SRC-3がアポトーシス関連因子として作用することが証明された。 さらに細胞周期G2/M期の移行に重要なチロシンフォスファターゼであるCDC25Bの発現が前立腺癌の増殖能、悪性度に影響を及ぼす影響を検討した。前立腺癌臨床検体30例を用い、前立腺の癌組織と正常組織でCDC25Bの発現量を免疫組織染色法にて比較した。CDC25Bが前立腺癌臨床検体の97%(29/30)に発現しており、正常部より癌部に高発現が多く認められた。また、高発現症例はGleason scoreとStageに相関していた。前立腺癌細胞株LNCaPにCDC25Bを導入し、CDC25Bによるアンドロゲン受容体(AR)の転写活性能をluciferase assayにて調べ、CDC25BによるARのホルモン依存性転写活性増強効果が認められた。GSTpull down assay、mammalian two hybrid assayにてCDC25BとARの結合能を調べ、CDC25BはARのAF1領域とAF2領域の双方と結合していた。以上よりCDC25Bのステロイド受容体転写共役活性化因子の可能性も示唆された。
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