研究分担者 |
小寺 義男 北里大学, 医学部, 講師 (60265733)
大石 正道 北里大学, 医学部, 助手 (40233027)
志村 哲 北里大学, 医学部, 助手 (40216114)
前田 忠計 北里大学, 医学部, 教授 (90265728)
馬場 志郎 北里大学, 医学部, 教授 (00051889)
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研究概要 |
本研究では,agarose二次元電気泳動(2-DE>法を応用し,前立腺癌(CaP)組織中の高分子タンパク質を網羅的に解析することにより,新たな腫瘍マーカー候補を探索した.また,アンドロゲン非依存性(AI)獲得に伴うタンパク質発現の変化を観察し,治療上のkey protein候補も探索している.【方法】ヒト前立腺癌細胞株をオスヌードマウス皮下に接種し,腫瘍が発育したところで除睾,一時退縮後に再増殖を来たした腫瘍をAI群とした。非除睾群をアンドロゲン依存(AD)群とした.両群の腫瘍からタンパク質を抽出,agarose-2DE法で展開後,LC-MS/MS解析によって,ゲル上の各スポットのタンパク質を同定した.【結果】高分子タンパク質領域を中心に解析した264スポット中243スポット(92%),190種類のタンパク質を同定した.80kDa以上の高分子タンパク質は87種類を確認し,そのうちの46種類(52%)がgene/protein expressionに関与するタンパク質であった.一方,80kDa未満のタンパク質ではgene/protein expressionに関与するタンパク質は29%にとどまり,31%がmetabolismに,19%がcell/organism defenseに関するタンパク質であった.AI群で量的な変動を来たしたタンパク質は15種類,CaPとの関連の報告がないものが36種類存在した.【結論】CaP組織内ではgene/protein expressionに関与するタンパク質は高分子タンパク領域に分布し,また,AI-CaPに変化する際に多くのタンパク質が量的に変動すること明らかになった.これらのタンパク質のなかに,新たな腫瘍マーカーや治療上のkey proteinが含まれている可能性があり,臨床応用をめざして更なる検討を進めている.
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