研究課題/領域番号 |
14571519
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
入江 啓 北里大学, 医学部, 講師 (50193694)
|
研究分担者 |
佐藤 威文 北里大学, 医学部, 助手 (50286332)
宋 成浩 北里大学, 医学部, 助手 (30206669)
岩村 正嗣 北里大学, 医学部, 講師 (20176564)
|
キーワード | 遺伝子治療 / 膀胱癌 / アデノウイルス / アデノウイルスレセプター / 癌遺伝子 / リボザイム / 癌抑制遺伝子 |
研究概要 |
本研究では,主に膀胱癌遺伝子治療における、遺伝子導入ベクターであるアデノウイルスの感染効率を向上させる手法につき検討している.同時に複数の治療遺伝子を効果的に癌細胞内で発現させることによる、治療効果の増強に関しても検討している.前年度までに、アデノウイルスの感染効率は、そのレセプターであるCAR(Coxsackie-Adenovirus Receptor)の標的細胞内での発現量に依存し、感染効率が異なる傾向を確認した.すなわちリアルタイムRT-PCR法によるCAR発現量の増加に相関して、実際のアデノウイルス感染効率の上昇を認めた.しかし検討を続けるうちに、CAR発現量およびアデノウイルス感染効率ともに、細胞の培養状況に大きく作用され、一定の相関傾向が見られなくなる事が確認された.つまり、培養細胞密度、継代数などの条件の差に依存して、CAR発現量、ウイルス感染効率が異なることが確認された.そのため、現在これらの傾向およびその原因を模索するとともに、CARの発現に加え、他族アデノウイルスレセプターのCD46、細胞内への進入に関連するインテグリンファミリー、接着因子などの発現と、実際の感染効率の相関についても検討している.これに並行し、2種の治療遺伝子同時発現アデノウイルスの、ヒト癌細胞に対する抗腫瘍効果に関する検討も継続している.これまでに、癌遺伝子erbB2に対するリボザイムと癌抑制遺伝子p53を同時に発現するアデノウイルスベクターの、膀胱癌細胞の増殖抑制効果につき検討し、それぞれの単独発現ウイルスに比べ、低容量で優れた抗腫瘍効果が確認された.また、ウイルスベクター導入による、腫瘍細胞内での分子生物学的指標の変動に関しても検討している.
|