研究概要 |
1、HLA-A24結合性PSMAペプチドの設計:PSMA蛋白のアミノ酸配列のなかで、9〜10個のアミノ酸配列において、2番目のアミノ酸がYであり、同時にC末端がF、IまたはLとなるような9ペプチドを、HLA-A24結合性を持つ候補ペプチドとした。 2、HLA-A24^+細胞へのPSMA遺伝子の導入:PSMA遺伝子を組み込んだアデノウイルス発現ベクターを用いてPSMA遺伝子をHLA-A24^+細胞(MKN45等)に導入した。FITC標識抗PSMAモノクローナル抗体を用いて、導入したPSMA遺伝子がHLA-A24^+細胞表面に発現していることがFlow cytometryにより確認された。 3、樹状細胞(dendritic cells : DC)の誘導:健常者の末梢血より抽出した、末梢血由来単核球をrecombinant GM-CSFおよびIL-4を添加した培養液中で7日間、37℃、5%CO_2でインキュベートすることによりDCを誘導した。DCであることは、顕微鏡下での形態学的な観察に加え、Flow cytometryにより、膜表面抗原CD80,CD86やMHC class Iおよびclass IIが発現していることで確認した。 4、PSMA特異的cytotoxic T-lymphocytes(CTL)の誘導:3で誘導したDCに1の各候補ペプチドを加え、これをstimulatorとして用いて検討したところ、9つのうち2つのペプチドがそれぞれのペプチドに特異的なCTLの誘導をはかることができることが分かった。これらCTLは、2で作成したPSMA^+,HLA-A24^+細胞をMHC Class IおよびCD8を介して標的細胞として認識していることが示された。 5、今後の研究の展開:得られた2つのペプチドがホルモン不応性前立腺癌患者においてもPSMA特異的なCTLを誘導しうるかどうかを検討して行く予定である。
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