研究概要 |
Survivin antisenceを導入したラット受精卵におけるアポトーシス誘導について。 survivinの着床前期胚における細胞分裂に対する役割を明らかにするため、アンチセンスオリゴにて遺伝子発現抑制をおこなった。72時間体外培養胚の形態および核の変化を検討したところ、アンチセンス群では桑実胚から初期胚盤胞で発育が停止し、フラグメンテーションが認められた。また、核は分葉化した巨大な核が認められ、核膜の再融合と細胞分裂の停止が示唆された。更にアポトーシスに与えるsurvivinの機能を検討するため、マウスの2細胞期胚を72時間体外培養し、コントロール、アンチセンス、ミスセンスの各群のアポトーシス発生率をcaspase-3アッセイを用いて検討したところ、アンチセシス群において優位にアポトーシスが誘導された。さらにこのアンチセンスの効果を明確にするため、アポトーシス誘導剤であるスタウロスポリンを正常胚ではアポトーシスを誘導しない程度に希釈し、培養系に添加したところ、アンチセシス群においてほとんどの胚がアポトーシスに至った。 Survivinのアポトーシスについて(caspaseのカスケード) 着床前期胚におけるsurvivinのアポトーシス抑制効果がどのcaspaseを抑制ことによってもたらされているか検討した。各種のcaspaseインヒビターを添加したところ、caspase-1,6,8インヒビターではアポトーシス発生率は減少しなかったが、caspase-3,9インヒビターを添加したところ有意にアポトーシスが抑制された。従って、survivinは着床前期胚においてcaspase-3,9を抑制していることが示唆された。
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