研究課題
基盤研究(C)
本研究では、黄体機能調節や着床期の子宮内環境に及ぼす一酸化窒素(NO)/NO合成酵素(NOS)系と一酸化炭素(CO)/ヘムオキシゲナーゼ(HO)系の影響について分子生物学的、免疫組織学的に検討した。黄体機能に及ぼす影響については、ブタ顆粒膜細胞(PGC)にはNO/NOS系が存在し、NOはPGCの性ステロイド産生能に対し抑制的に作用し、E2の抑制にはNOのアロマターゼ活性抑制作用が直接的に作用することが証明された。またHOは、PGCの黄体および血管内皮細胞に局在することが証明され、壁側PGCのアポトーシス細胞はHO donor(hemin)により有意に増加し、HO inhibitor(ZnPP、IX)により抑制された。また壁側PGCで発現したFas ligandは、heminにより有意に増加し、ZnPP IXにより抑制された。従って、HOはFas ligandを増加させautocrine/paracrineに顆粒膜細胞のアポトーシスを誘導すること、そしてHOは顆粒膜細胞の性steroid産生を抑制することより、卵胞退縮に関与している可能性が強く示唆された。正常周期黄体期のヒト子宮内膜組織において、NO/NOS系ではiNOSの役割は少なくeNOSが子宮内膜細胞の分化に重要な役割を果たしている結果が得られた。一方着床期では、脱落膜組織にはiNOSmRNAやiNOS蛋白の発現が上昇し、この増加したiNOSを含む多量のNOが、妊娠維持を調節していることが強く示唆された。CO/HO系については、HO-1・HO-2のmRNA発現がヒト子宮内膜に認められた。HO-1の発現は月経周期により差はなかったが、HO-2の発現は増殖期よりも分泌期に上昇した。子宮内膜組織での免疫染色では、HO-1蛋白は上皮にその局在が認められ、組織中のマクロファージにもHO-1が発現していた。一方、HO-2蛋白は血管内皮と血管平滑筋にその局在が認められた。また、ヒト初期絨毛においても、NOSやHOの蛋白発現が認められた。以上の結果より、排卵後卵巣に形成される黄体の機能調節と、妊娠が成立し着床期に至る子宮内環境の調節には、NO/NOS系とともにCO/HO系も重要な役割を果たしていることが証明された。
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