研究概要 |
ストレスに応答して生体機能の恒常性を維持するシステムは神経系・免疫系・内分泌系のネットワークの中で構築されており、その破綻は間脳・下垂体・卵巣系にも影響を及ぼし性機能障害を招来する。そこで産婦人科領域で遭遇する体重減少やスポーツ等に起因ストレスによる性機能障害の発症メカニズムに関しても免疫・内分泌学的側面からその病態を捉え直す必要がある。 そこで、本年度は先ずストレス負荷によりもたらされる性機能障害を検討するためにストレス負荷実験モデルの作成を試みた。ラットに30分/日,60分/日,120分/日の強制運動ストレス負荷(750m/hour)をそれぞれ1週間連続して与え、強制運動ストレス負荷が性周期に及ぼす影響を観察した。その結果、30分/日の強制運動ストレス負荷では影響は見られなかったが、60分/日では83%に性周期異常が認められ、80%に性周期の停止が認められ、120分/日では100%に性周期異常が認められ、83%に性周期の停止が認められた。また、虚血・再還流ストレスでのケモカインの動態を日本ザルを用いて検討した。その結果、虚血・再還流ストレス後、30分で海馬ではELRモチーフを持つCXC・Chemokine(Gro-a, Gro-b, Gro-g, IL-8, ENA-78, NAP-2, GCP-2)及びその受容体であるCXCR2がmicrogliaに一過性に出現することを免疫組織化学的手法で見いだし、ストレス応答におけるケモカインの関与が霊長類を用いたモデルにおいても確認できた。
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