研究課題/領域番号 |
14571546
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小池 浩司 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (70225340)
|
研究分担者 |
鈴木 信孝 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (60251930)
村上 弘一 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (20242555)
山嶋 哲盛 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (60135077)
|
キーワード | 生殖生理 / ケモカイン / ストレス / 性機能 / サイトカイン / エストロゲン |
研究概要 |
ストレスに応答して生体機能の恒常性を維持するシステムは神経系・免疫系・内分泌系のネットワークの中で構築されており、ストレス負荷によるその破綻は性機能障害をもたらす。また、閉経による性機能低下状態は、ストレスに対する脆弱性を招来し、間脳・下垂体・卵巣系のみならず、種々のストレス関連疾患の病態発生にも深く関与すると考えられる。 我々はこれまでにケモカイン(CINC)が中枢神経系において抗ストレス作用をもたらす事を明らかにしてきた。そこで本年度はラットを用いて、CRFを脳室内投与して、ストレス負荷状態を惹起させたうえで、CINC分泌を促進する温経湯を経口投与して、温経湯が抗ストレス作用をもたらすかどうかを行動薬理学的に検討を加えた。その結果、温経湯は視床下部でのCINC分泌を亢進させた。アニメックスによる行動量の定量実験に置いて、温経湯を経口投与はCRFの脳室内投与による行動量の増加に拮抗し、抗ストレス作用をもたらすことが明らかとなった。臨床的にも性機能の低下した閉経婦人に温経湯を投与して抗ストレス作用をもたらすかどうかは症例を増やして現在検討中である。 一方、霊長類を用いて、ストレスに反応して変化する脳内のEstrogen受容体の動態を虚血ストレス負荷環境で検討した。その結果、サルの海馬ではEstrogen-α受容体(ERα)はどの細胞にも発現しておらず、虚血ストレス負荷により、虚血後4日目で海馬での増殖性を示すミクログリアの殆どにER-βが発現し、ERαは観察したいかなる時期においても認められなかった。以上から、虚血ストレス負荷後のミクログリアの反応性増殖と活性化にはER-βが何らかの役割を担っているものと考えられた。
|