研究課題/領域番号 |
14571547
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
金谷 太郎 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (30303308)
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研究分担者 |
京 哲 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (50272969)
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キーワード | DNAメチル化 / 子宮内膜癌 / hMLH1 / Metylation Specific PCR / Bisulfite sequencing / PTEN mutation / Microsatellite instability / Micodissection |
研究概要 |
本研究費により平成14年度までに、子宮内膜癌と正常子宮内膜におけるhMLH1のメチル化に伴う蛋白発現の低下、および遺伝子不安定性について確認した。それらを踏まえて、15年度に明らかとなった成果を以下に示す。 1.hMLH1プロモーターのメチル化質的解析 メチル化解析法として一般的に用いられているのはMethylation specific PCR(MSP)と呼ばれる定性的な解析法であるが、今回hMLH1プロモーターの質的なメチル化解析を目的として用いた方法はBisulfite sequencingであり、メチル化の領域と頻度を直接確認した。その結果、子宮内膜癌症例56例のうち、16例(29%)がプロモーターのほぼ全領域がメチル化され、14(25%)が部分的なメチル化、26(46%)がメチル化されていない症例であった。 2.PTEN mutationとの関連 癌抑制遺伝子PTENは、子宮内膜癌の早期に変異を受けることが報告されている。同様に発癌の早期に関与するhMLH1のメチル化との関連を調べた結果、PTEN mutationは子宮内膜癌の約40%に認められ、特にPTEN frameshift mutationはhMLH1のメチル化との有意な相関が認められた。 3.Microdissection(Laser capture microdissection : LCM) 癌病変と正常組織、前癌病変などを顕微鏡下に厳密に区別することを目的として、LCMを用いた解析も進めている。極微量のDNAにおいてメチル化解析を行うことはこれまで技術的に困難であったが、我々はPCRとメチル化感受性制限酵素を組み合わせることでこの問題を解決した。その結果、子宮内膜癌の前癌病変である子宮内膜増殖症でのメチル化頻度は、癌とほぼ同等であることを確認しており、現在症例を追加して検討を進めている。 以上の結果を踏まえ、発癌の初期イベントに注目した子宮内膜癌発癌機構の解明と、スクリーニングにおける発癌リスクの高い症例を識別する臨床応用について、今後研究をさらに進める予定である。
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